不妊症は女性の病気と思われがちですが、不妊の原因の半数は男性にも原因があるんです。
不妊症の割合 子供ができない夫婦は15%
世界保健機構(WHO)のマニュアルでは12か月経過しても妊娠に至らない場合は不妊症であるとしています。
通常のカップルのうち約15%は不妊症だそうです。
結構多いんですね。
自分の周りでも同年代の夫婦の多くが不妊治療を行っています。
不妊の原因は女性? 男性? 実は半々
日本では子供ができない場合、昔から女性に問題があると考えられてきた傾向があります。
子供ができないことが原因で、旦那の家族からいじめられる・・・
まるで昼ドラみたいな話ですが、昔から日本ではこういった状況は多かったと思います。
不妊症のカップルのうち、男性のみに不妊原因があるカップルが約24%、男性と女性ともに原因があるカップルが約24%ですので、子どもができない原因の約48%は男性側にも問題があるということになります。
ちなみに、女性だけに問題があるのが41%、不明が11%というデータが出ています。
不妊の原因は男性である確率も50%程度なんですね。
意外と多い男性不妊について
子供ができないと思っている不妊症の夫婦のうち、2組に1組は男性にも原因があるので、旦那さんも他人事ではありません。
男性不妊は女性の場合と違って、検査で原因がはっきりわかることが多いです。
そんな男性不妊についてご説明します。
男性不妊の種類
まずは、男性不妊の種類
造成機能障害(精子形成障害)
精子が作れない、精子がの数が少ない、質が悪い、という症状です。
- まったく精子が無い人は無精子症
- 精子が少ない人は乏精子症
- 精子の運動性が悪い人は運動無力症
精液1mlあたり1500万以上の精子数、40%以上の運動率、15%以上の正常形態精子数、を基準としていますので、これ以下の場合は造成機能障害ということになります。
その他には・・・
- 視床下部・下垂体障害
男性ホルモンの異常で精子形成に影響が出ている。
- 精索静脈瘤
陰嚢内にコブ状の腫瘤ができ、血流の悪化、精巣温度の上昇などにより精子形成に異常が出る。男性不妊の約3割を占める代表疾患で、手術で治療が可能。
- 停留精巣
精巣が陰嚢内に下降しきってない。温度上昇などにより不妊の原因になる。
- 染色体異常
代表的なものは性染色体異常であるクラインフェルター症候群など。
精子通過障害
精子通過障害は精子が通れない、出てこられない病気
この場合、手術を行い、精子の通り道を開通させることで、精子を得られる可能性があります。
精巣内で十分に精子が作られていれば、治療して、自然妊娠することも可能です。
性機能障害
これは、精子が無いとかそういう問題とは別で、性行為ができないというものです。
勃起障害(ED)や性行障害、性欲の減退などにより夫婦で性行為ができないため、夫の精子が妻の卵子に到達できないことになります。
日本の夫婦の45%はセックスレスという報告もあり、意外と多い事例
馬鹿にできません。
男性不妊の原因は様々
原因は様々で、特定されないこともあります。
性機能障害では、精神的な問題であることもあります。
また、女性と同じで年齢が上昇すると男性も精子の数や運動率が低下することが認められており、加齢も原因の一つであると言えます。
はっきりとした疾患が原因でない場合は、長時間の自転車やバイクの利用やボクサーパンツや長風呂による睾丸の温度上昇が精子の数を低下させている場合もあります。
なるべく、精巣を温めないようにして、規則正しい生活を送ることが重要です。
自覚症状の無い男性不妊も
まったく精子が無い無精子症の人は、日本人男性の約1%と言われています。
100人に1人はいる計算です。
精索静脈瘤などでは鈍痛がある場合もあり、そういった状態であれば自覚症状はありますが、無精子症であっても、射精は可能で、精液も通常通りに出てきます。
見た目ではまったくわからず、検査をしてみないとわかりません。
精子があるかないかだけなら、簡易キットを使って自分で調べることもできますが、郵送で送るため運動率などは誤差がでやすいです。
あくまで精子があるか無いかだけの判断であれば、郵送での検査もひとつの目安になるでしょう。
男性不妊の検査方法
多くの不妊治療クリニックでは男性不妊についても検査してくれます。
そのため、婦人科医院やレディースクリニックでの検査になります。
男性不妊専門の病院や医師は少ないのが現状ですが、夫婦で不妊治療に対応してくれる病院に行って検査するのが最も一般的でしょう。
その他、泌尿器科でも一部取り扱いがある医院もあります。
不妊治療ではなく、一人で検査だけ受けたい場合などは泌尿器科の方が恥ずかしくないかも
どちらも検査は、精液検査になります。
専門の容器に精液を出して、検査してもらいます。
自宅で容器に入れていくパターンと、病院の個室で採精するパターンがあります。
自宅から持っていく場合は、鮮度の低下や温度の低下に注意が必要です。
精液検査でもわからないDNAの検査もあります。
精子DNA断片化検査というんですが、私たち夫婦もやりました。
自宅で精液検査ができるスマホアプリ Seem(シーム)
最近ではSeem(シーム)というスマホアプリで精子の濃度や運動率がわかるものもあります。
簡易キッドと同じように自宅にキットが送られてくるので、自宅で採精し、スマホのカメラにレンズを取り付けることで、スマホを顕微鏡化して、アプリで判定できるそうです。
これなら、郵送も不要ですが、やはり病院の検査ほど正確ではないでしょう。
※2022年Seemはサービス終了してしまいました。
男性不妊の治療法は??
症状により治療法は異なりますが、ほとんどの疾患に対して治療法があり、精索静脈瘤のように治療をすることで造成機能障害が解消されることもあります。
かつては絶対不妊と言われていた染色体異常も、現在の治療技術では妊娠に至った事例もあり、早めに検査して原因を突き止めることが求められます。
性機能障害では、メンタルカウンセリングやバイアグラなどの薬による治療を行います。
男性不妊の予防法は?
原因の病気がはっきりしていない場合は、生活改善が予防になります。
- 適度な運動
- バランスのとれた食生活
- 規則的で質の高い睡眠
- 精巣を温めない
⇒長風呂や長時間のサウナを避ける、自転車やバイクに長時間乗らない - 禁煙
女性と同じでホルモンバランスと整えることが大切なので、規則正しい生活を心がけましょう。
特に過度の飲酒や禁煙は精子を作る能力を低下させることがわかっています。
妊活を始めるなら禁煙をすぐにでもやったほうがいいでしょう。
まとめ
男性不妊というと聞きなれない言葉かもしれませんが、不妊の原因の約半数は男性にもあることがわかっています。
最近では男性不妊をテーマにした映画もできたので、夫婦で見るのも勉強になるかも
男性側も、不妊は夫婦のこととして真剣に向き合い、妊娠へ向けて二人で歩んでいくことが妊娠への近道かもしれません。
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