不妊治療をやっていると成功率(妊娠する確率)って気になりますよね。
確率はあくまで確率
しかし、自分の年齢での成功率や通っている病院の妊娠率、体外受精などの治療内容別の妊娠率など気になるものです。

日本の不妊治療成功率は世界最低水準
まずは不妊治療にまつわるデータを見ていきましょう。
不妊治療を受ける人の割合は約20%
近年、テレビや雑誌などのメディアでも不妊治療という言葉を聞くことが増えてきました。
芸能人でも不妊治療を受けていることを明かす人や、不妊治療によって子どもを授かったカップルも多くなっている印象を受けます。

実際には、どのくらいの割合の人が不妊治療を受けているのでしょうか?
国立社会保障・人口問題研究所の報告(2015年)によると
- 「不妊を心配したことがある・心配している」夫婦は全体の35%。
- 「実際に不妊の検査・治療を受けたことがある・受けている」夫婦の割合は全体の18.2%
こちらは年代別
総じて「子どもがいない夫婦」の方が不妊治療経験者の割合が多いのは予想通り
全体でも見ても、20%近くの夫婦が不妊治療を経験しているので、5~6組の夫婦に1組は不妊治療経験者ということになります。
たしかに、私の周りでも受けている人は多いですし、公言しない人も含めると、意外とかなりの割合なのかな、と思います。
日本は世界で最も妊娠できない不妊治療をしている
こちらは、世界各国の生殖補助医療(不妊治療)の実施件数と出生率をグラフにしたものです。
(出所)Human Reproduction,Vol.31,No.7pp.1588-1609,2016 Advanced Access publication on May 20,2016 doi:10.1093/humrep/dew082 Table Ic Reported data and ICMART estimations(bold)for year 2010.より抜粋
日本は不妊治療の実施件数が25万件近くあり、これは世界でも断トツ1位
2位のアメリカでさえ18万件程度で、人口に対する割合も考慮すると、かなりの割合で不妊治療を行っていることになります。
しかし、1回の採卵当たりの出生率は断トツの最下位
日本は、1回の採卵当たりの出生率が6%程度なのに対し、ワースト2位のイタリアでさえ約17%なので、不妊治療による妊娠率は相当低いことがうかがえます。
要するに、日本は不妊治療を受ける人は多いけど、治療が成功する確率は世界で一番低いということ
自然妊娠する確率は?
健康な30歳の女性が性交渉を持った場合、一回の周期で妊娠する確率は約20%と言われています。
これは、タイミング法などで排卵のタイミングと合わせた場合の数値ですが、ざっくりと計算してみましょう。
まず、精子が卵管を通り排卵された卵子と出会うことが必要ですが、これはタイミング法などでかなり確率を上げることができるので、ほぼ100%と想定します。
男女共に健康であれば精子は女性の体内で最長5日くらい生きられるので、排卵日の5日前の性交渉から妊娠に有効で、多少排卵日とずれても問題ないですし、基礎体温の計測などで、かなり高い精度で排卵日を予測できるからです。
次に受精する確率
これは以外と高くて、70~80%
ただし、精子の質や卵管が狭い場合などは確率が大きく変わります。
そして、授精した胚が育ち着床する確率は20%程度と言われています。
着床後に早期流産等をしてしまう可能性もありますが、一応、ここまでの確立をそれぞれ足したものが妊娠の確立と言えるでしょう。
まとめると・・・
精子と卵子が出会う確率 | 100% |
受精する確率 | 80% |
着床する確率 | 20% |
100%×80%×20%=16%
だいたい16%が自然妊娠する確率
不妊症の確率は?
自然妊娠の確率が16%と言うことは、逆に84%が妊娠しない確率
不妊症と判断するには1年間タイミングをとっても妊娠しない場合です。
つまり、12回連続で妊娠しない確率なので、84%の12乗
計算すると約12.34%
不妊症になるの確立は約12%ということです。
これは全体の平均ですので、年齢によっても違います。
自然妊娠する確率は、20代では20~25%、30代前半では15~20%、30代後半では10%、40歳以降は5%以下と言われているので、逆算すると年代別の不妊の確率もわかります。
やはり、30代からは一気に妊娠の可能性が減るんですね・・・
年齢別・病院ごとの不妊治療で妊娠する確率
ここからは妊娠する確率について、様々なデータをまとめてみました。
自分の妊娠率はだいたいどのくらいなのか?
一番妊娠確立が高いのはどの病院なのか?
など気になる情報を調べてみました。
年齢別に見る不妊治療成功率
年齢によって自然妊娠する確率が低くなるのはわかりました。
では、不妊治療をしている場合はどうなのでしょうか?
下のグラフは不妊治療による妊娠率と流産率を年齢別にまとめたものです。
(出典)日本産婦人科学会ARTデータブック 2015年PPTX版
やはり、自然妊娠の確立と同じで年齢が高齢になるほどに妊娠率が低下しているのがわかります。
特に、30代後半からは急激に低下していますね・・・
やはり早めの治療が肝心なようです。

病院別の不妊治療成功率
病院によっては不妊治療の成功率を公表している病院もあります。
今回は、そんな中から、2つのクリニックを紹介
医療法人社団生新会 木場公園クリニック
体外受精・顕微授精の成績を年代別にまとめてくれています。
データサンプルは2001年8月から2015年12月のものみたいです。
- 30歳未満の着床率 41.5%
- 30歳以上35歳未満の着床率 34.6%
- 35歳以上40歳未満の着床率 23.7%
- 40歳以上41歳以下の着床率 12.4%
- 42歳以上43歳以下の着床率 7.6%
- 44歳以上45歳以下の着床率 3.1%
- 46歳以上の着床率 0.4%(分娩率0%)
また、凍結融解胚盤胞移植の成績も合わせて公開しており、上記の数字より若干高いみたいです。
詳しくはクリニックのHPをご確認ください。
木場公園クリニック
医療法人社団雙葉会 はなおかIVFクリニック品川
こちらも体外受精の成功率をホームページで公表しています。
データサンプルは2018年の1年間のものです。
- 29歳以下 50%
- 30歳以上34歳以下 40.3%
- 35歳以上39歳以下 37.8%
- 40歳以上42歳以下 21.4%
- 43歳以上 9.6%
初期胚移植や胚盤胞移植での妊娠率も公表しています。
はなおかIVFクリニック品川
病院、クリニック別の不妊治療成功率まとめ
ここで紹介したクリニック2院は平均よりも高い妊娠確率でしたね。
ホームページで妊娠率を公開するということは、それだけ実績に自信があるということ。
ただ、あくまで確率であって、中には難しい治療が必要な患者は別のクリニックに紹介しているところもあり、そういった病院では治療の成功率は高くなるでしょう。
逆に、高度治療専門医院で、患者のほとんどが自然妊娠の見込みが無いようなクリニックでは全体の妊娠率は低くなってしまいます。
どのクリニックにするか、妊娠率以外でも考える必要がありますね。
まとめ
妊娠率や不妊治療の成功率、自分の歳での不妊治療成功率など、気になるデータは多いと思いますが、これらはあくまでも統計数字
それぞれ事情も違いますし、実年齢よりも卵巣年齢が重要なのは当然です。
こういった数値に踊らされることなく、あくまで参考程度にしておきましょう。
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