低身長で肥満が症状の不妊症になる染色体異常「ターナー症候群」とは

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みなさんは、ターナー症候群という病気を聞いたことがありますか?

ターナー症候群は女性にのみ起こる染色体異常の病気ですが、実はこの病気が不妊症の原因になっていることがあるんです。

そんな、不妊症にかかわりの深いターナー症候群について紹介します。

まずは、ターナー症候群とはどんな病気なのか、から見ていきましょう。

ターナー症候群とは?

ターナー症候群とは、女性の病気で、遺伝子をのせる染色体のうち、性染色体であるX染色体が足りないことで発症します。

染色体はXとYがあり、男性はXとYを1本づつ。女性はXが2本です。

本来、女性の細胞にあるX染色体2本。しかし、ターナー症候群では、X染色体の1本が完全に、あるいは一部が欠けた状態(一部欠損やモザイク)となります。

出生女児の2,000人に1人程度の割合で発症するといわれており、女児にもっともよくみられる性染色体異常です 。

原因は受精卵の時に決まる

ターナー症候群は、母体のなかで受精卵として発生をとげていく段階で、染色体の分裂や合成に異常が生じることで起こります。

具体的には、女性の細胞には本来2本備わっているはずのX染色体の1本が完全に、または一部が欠けてしまうことが原因です。

しかし、なぜ異常が生じるのか、詳しい原因についてはまだ解明されていない部分が多い謎の病気です。怖いですね。

ターナー症候群の特徴は低身長

ターナー症候群の一般的な特徴は次の通り

  • 低身長で肥満体型になりやすい
  • 首の皮膚が伸びて首に翼があるように見える(翼状頚)
  • 肘が外反する(外反肘)
  • 女性性器の発育不全と月経異常などの性腺機能不全

そのほか、上まぶたが下がっている(眼瞼下垂)、首の後ろの髪の生えぎわが低い位置にある、ほくろ(母斑)、爪の発達が悪いなどの症状もみられることがあるそうです。

特に、不妊治療中の方で気になるのは月経異常などではないでしょうか。

無月経(生理がない状態)や、通常は思春期に変化が起こる乳房、腟、陰唇などが成長しないなどの症状もターナー症候群の症状の一つです。

こういったことに心当たりがある場合は、病院で相談してみるといいかもしれません。

ターナー症候群で怖い合併症

ターナー症候群で怖いのは、合併症

こちらの「ターナー症候群の染色体異常患者および母親における妊娠に関する心身問題とケア」によれば、もっとも多い合併症は骨粗しょう症です。

他には、糖質代謝異常、中耳炎、糖尿病、心臓弁膜症、腎臓の奇形、などの病気を合併しやすくなります。

ターナー症候群の検査・診断

ターナー症候群は多くが小児期に低身長がきっかけで診断されます。

詳細な検査では、染色体検査が行われ、X染色体の本数や形状を調べることによって確定診断を行います。

通常の女性の染色体は、46XXというものですが、ターナー症候群の方の染色体は45XOと表現されます。

また、なかには小児期ではなく、青年期に入ってから無月経などの性的成熟がみられないことなどにより、初めてこの病気が疑われるケースもあります。

染色体異常の遺伝子検査をやるべきか? やらないべきか?
体外受精に挑戦すること11回ここまで一度も胚盤胞に育つことなく、着床もしていません。さすがにおかしいということで、より詳しい遺伝子レベルでの検査を行うことを進められました。そして行った精子DNA断片化検査でしたが、こちらの結果は異常なし残る

ターナー症候群の治療

ターナー症候群でみられる低身長に対しては、成長ホルモンの補充療法を行います。

そして、卵巣機能不全に対しては、健常女性の思春期の年齢の頃(12~13歳)に、エストロゲンという女性ホルモンの補充療法を開始します。

また、ターナー症候群では、合併症の管理のため、定期的に聴力検査や眼科検診、心臓や腎機能の検査、甲状腺機能検査などスクリーニングを受けることが推奨されています。

ターナー症候群でも妊娠できる?

ターナー症候群の女性では、月経があるのが10%程度と言われており、自然妊娠するのは2%と言われています。

そのため、ターナー症候群=絶対に妊娠しないと、いう訳ではありません。

低い確率ですが、自然妊娠もしていますし、不妊治療を行うことで、さらに妊娠する確率をあげることもできます。

ただし、ターナー症候群により卵巣機能が無い場合は、自然妊娠や体外受精でも妊娠は難しく、卵子提供による不妊治療に頼るしか方法がありません。

ターナー症候群を診断された場合、卵子提供が可能になるので、妊娠を目指すのであれば、卵子提供による不妊治療を行います。

注意点として、ターナー症候群の場合、流産率が高いことや、妊娠高血圧や妊娠糖尿病なとの周産期合併症を引き起こす確率が高く、一般の人よりも注意が必要です。

こういった注意点や卵子提供による問題点などはしっかりとカウンセリングして、治療に臨むことが大切

まとめ

不妊症の原因にもなるターナー症候群という染色体異常

小児期に診断されるケースが多いですが、そうではないケースもあります。初診時の年齢が40歳以上の症例もあるそうです。

もし、少しでも気になる症状があるなら相談してみるといいかもしれませんが染色体異常はメンタル面にもかなりの負担が来ます。しっかりと経験のある病院で対応するほうがいいでしょう。

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