体外受精で胚移植をした人たちが最も気になることは移植後の生活ですよね?
特に、運動についてはどの程度まで可能なのか気になるところです。
胚移植後の運動について、調べてみました。

胚移植後は運動すべきではないという考えは古い
基本的には胚移植後は安静が基本で、運動は推奨されていませんでしたが、最近では考えが変わってきているようです。
胚移植後も運動してもよい理由
以前は運動をするとその振動や衝撃で移植した胚が膣内に脱落したり、着床を阻害してしまうと考えられてきました。
何となく、移植後はおとなしくしていた方がいい気がしますよね。
ただ、最近ではこの考えを覆すような調査結果が多く、むしろ軽い運動は着床率を上げると言われています。
そのため、運動すべきではないという考えは古いんです。
その辺の論文の解説はこちらの菊池レディースクリニック静岡さんのブログがわかりやすかったです。
まず適度な運動は、体内の血液循環を良くします。
移植した胚が着床する際に、子宮ではたくさんの栄養を必要とするので、栄養をたくさん運ぶために血液循環を良くする必要があります。
そのため、着床時期に適度な運動をすることは着床を助けることになるのです。
また運動することでストレス発散にもつながります。
ストレスは、着床に必要なホルモン分泌や、免疫力の低下を招きます。
胚移植をすると妊娠を意識してしまい精神的にも不安定になるので、過度な安静はせずに、軽い運動などを楽しんだ方が精神衛生上も良いと考えられています。
胚移植直後は安静がよい
移植後は安静にしているより適度な運動をした方が良いという理由はわかりましが、胚移植直後は安静にしておくべきとも思います。
胚移植の手術ですから、終わってから数十分程度は身体を落ち着かせた方がいいです。
移植時に子宮を傷付けてしまっていることなども考えられるので、1日、2日はあまり運動しない方が無難かもしれません。
ただし、こちらも移植後10分間安静にしていた人とすぐに帰宅した人では妊娠率に差が無かったというデータもあるそうで、意見は分かれています。
性交渉は控えるべき
運動については基本的に普段通りで問題ないといことはわかりましたが、もう一つ気になるのが夫婦間の性交渉ですね。
結論から言うと性交渉は避けた方が良いです。
性交渉による子宮や乳房への刺激はオキシトシンというホルモンを分泌し子宮の収縮を促します。
また、精液の中に含まれるプロスタグランディンというホルモンも子宮を収縮させる効果があります。
胚移植では子宮が収縮しないように刺激に注意しながら移植を行っており、子宮収縮を抑えるためにも胚移植後の性交渉は着床を妨げる可能性があるため控えた方がよいです。
ただし、こちらも意見が分かれており、性交渉をした方が着床率が上がったという報告もあるそうです。
胚移植後に運動しても着床率は変わらない
最近では胚移植後に激しい運動でなければ普段通り過ごしてよいという病院が多いです。
また、その理由を示す論文なども増えてきており、科学的なエビデンスもあります。
胚移植後の運動で妊娠率に変化は無し
海外の論文になりますが、こちらの論文に移植後の女性の活動と着床結果について調査が行われています。
調査では、胚移植を行った女性の腰に加速度計を付けて活動と着床の有無を調べた物ですが、結果は女性の活動と着床率に関係性はありませんでした。
ただ、この調査では移植後に激しい運動をした女性はおらず、一般的には軽い運動とされるウォーキングなどを行った人しかいませんでした。そのため、身体に高負荷をかける激しい運動ではどういった結果になるかはわかっていません。
無酸素運動や1時間を超える激しい負荷をかける運動は身体的負担が大きいので避けた方が良いかもしれませんね。
移植前から日常的に運動している人は妊娠しづらい
こちらもこの海外の論文になりますが、普段から運動している人は妊娠しづらいという意外な結果になっています。
こちらの小塙医院のHPで解説しています。
論文は、体外受精を受けている女性を対象に調査したもので、体外受精前から週に4時間以上の運動を1年以上続けている女性では、運動歴がない女性よりも妊娠率が低下するという報告でした。
これは意外ですね。
定期的な運動は身体の状態を整え、妊娠率も上がると思ってましたが・・・
しかしこの論文の研究は、胚移植後の期間の身体活動を調査しなかったため、妊娠できなかった根拠が胚移植後に発生した身体活動によるものか、それより以前に発生した身体活動によるものかは不明だそうです。
胚移植と運動については安静にすべきという意見の医師もまだまだ多く、各種研究結果も結果が若手入る状態のようです。
コラーゲン入りの培養液で胚の落下を防止する
胚移植では、少量の培養液とともに胚を子宮に戻しているそうです。
この培養液は色々な種類があり、培養液の合う合わないとかもあるそうで、ある培養液だと受精卵が育たないのに別の培養液なら胚盤胞まで育つといった相性があるみたいです。
そして、この培養液は、胚移植時には胚を子宮内にとどめる役割もあるそうです。
培養液の中にはヒアルロン酸が含まれているものもあり、そのような培養液を使用すれば、激しく運動をしたとしても胚が子宮から膣内に落ちることは少ないそうです。
移植後の生活で身体を動かす必要がある人は培養液などについても聞いてみるといいかもしれません。
まとめ
胚移植後は妊娠を意識してしまい、精神的にも不安定になってしまいますが、ストレスは妊娠率を低下させます。

運動などの移植後の生活については諸説あり、何が正しいかはわかりませんが、個人差などもあるのかもしれません。
まずは通っている病院の方針に従って生活しつつ、精神的にはあまり移植した胚を意識しないで暮らした方が良さそうです。
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