私は、不妊治療を始めて20代後半の時にAMHが低いことが発覚しました。
当時、医師からは「もういつ閉経してもおかしくないから、すぐにでも体外受精をやった方がいい」と言われ、かなりのショックを受けたのを覚えています。
同じようにショックを受けている人は多いと思います。
そんな低AMHさんでも妊娠するためにはどうすればいいのでしょうか?
まずはAMHとは何かをまとめてみました。
AMH(アンチミューラリアホルモン)とは?
AMHとはアンチミューラリアホルモン、抗ミューラー管ホルモンと言われるものです。
血液検査で簡単に調べられるもので、卵巣予備機能を知るための指標として、近年不妊治
療の現場で使われています。
AMHの詳しい解説はこちらのクリニックのHPに書かれています。
AMHは育ち始めの卵胞から分泌されるホルモン
女性の体内には卵子の元になる原子卵胞があります。
これはまだ産まれる前の胎内にいる時にできて、だいたい500~700万個あるそうです。
そこから徐々に減り始め、産まれた瞬間にはすでに200万個くらいになっています。
その後は、生理のあるなしに関係なく、毎月約1000個づつ減っていくんです。
この原子卵胞は排卵する卵胞の元ですが、原子卵胞から一次卵胞→二次卵胞→前胞状卵胞→胞状卵胞→成熟卵胞→卵子が排出と成長していきます。
この期間は120日以上かかるそうです。
AMHはこのうち前胞状卵胞から分泌されるホルモンで、簡単に言えば育ち始めた卵胞から分泌されるホルモンと言えます。
あくまでも残りの原子卵胞の数ではなく、現在の前胞状卵胞の数だ、ということを覚えておきましょう。
FSH(卵胞刺激ホルモン)というのもある
原子卵胞が卵子へと成長すると説明しましたが、この原子卵胞を成長させる指示を出すのがFSHというホルモンです。
卵胞刺激ホルモンという、そのまんまの名前ですね。
FSHは卵胞の成長を促すので、卵巣の機能が低下している人はFSHが高くなります。
これは、たくさんのFSHを出して、卵胞をたくさん刺激しないと成長しなくなるためです。
そのため、低AMHの人はFSHが高くなることが多いです。
卵胞期(排卵の前)のFSHの基準値は3.5~12.5mlu/mlと言われていますが、最近はあまりFSHの値は参考にしないお医者さんが多いようです。
FSHの値は日によってかなり大きく変動する上に、FSHの値が本当に悪くなるころにはかなり卵巣機能が低下していると言われているので、FSHよりもAMHの値を重視する場合が多いです。
AMHが低い意味は?
私のようにAMHが0.1ng/mlというのはどういうことなのでしょうか?
AMHの基準値は無い
日本産科婦人科学会、生殖・内分泌委員会 生殖医療リスクマネージメント小委員会の報告では
1. AMH は卵子の質とは関連しない。
2.AMH の測定値は個人差が大きく、若年女性でも低い場合や 高齢女性でも高い場合があり、測定値からいわゆる「卵巣年齢」 の推定はできない。
3.測定値と妊娠する可能性とは直接的な関連はなく、測定値から 「妊娠できる可能性」を判定するのは不適切と考えられる。
4.測定値が低い場合でも「閉経が早い」という断定はできない
と言われています。
AMHには基準値はありませんが参考基準範囲が発表されています。
年齢 | 中央値(ng/ml) | 基準範囲(ng/ml) |
27歳以下 | 4.69 | 0.76~14.18 |
30歳 | 4.02 | 0.79~12.74 |
32歳 | 3.54 | 0.62~13.87 |
35歳 | 2.62 | 0.37~10.18 |
38歳 | 1.9 | 0.11~7.81 |
40歳 | 1.47 | 0.08~6.13 |
42歳 | 1 | 0.05~5.81 |
45歳 | 0.41 | 0.03~3.43 |
これは、不妊治療患者16526人のうち多嚢胞性卵巣(PCO)(939 例)および早発卵巣不全(POI)(42 例)と診断された症例を除外した人のAMHを測定した結果です。
基準値ではなくあくまでも測定した結果だということを理解しておきましょう。
私は、AMHの数字的には42歳以上だそうです。
せめて30代でいたかった・・・
AMHが低いということは育ち始めの卵胞が少ないということ
AMHが低いということは、この前胞状卵胞が少ないということで、前胞状卵胞が少ないということは、その後、排卵される成熟卵胞が少ないということです。
なので、AMHが低い人は体外受精の際に採卵を行っても取れる卵胞の数が少なく、私もいつも1個からせいぜい3個くらいの卵胞しか採卵できません。
逆にPCOS(多嚢胞卵巣症候群)の人などは成熟しない卵胞が多く育つのでAMHは高くなります。
一般的にAMHは2ng/ml以下は少ないと言われ、6.8ng/ml以上はPCOSの危険が高くなりますが、先ほど書いたように基準値にかなり幅があります。
AMHと年齢は関係ない
なんども言いますがAMHはあくまでも前胞状卵胞の数を表しているそうです。
たしかに、年齢が高くなり原子卵胞の数が減ってくると、それに伴い前胞状卵胞の数も減るので40歳以上の女性ではAMHは2ng/ml程度のなることが多いのは事実です。
しかし、20代でもAMHが低い人もいれば、高い人もいて、年齢とは正規分布しないそうです。
わかりやすい事例では原子卵胞は年齢とともに減りますが、AMHは年齢によって増えたり減ったりします。
原子卵胞とAMHの関係はその程度なんです。
あくまでも統計的に年齢が高くなる(卵巣予備機能が低下する)とAMHも低くなる、程度に理解しておきましょう。
AMHと妊娠のしやすさにはあまり関係ない
AMHは卵巣予備機能を知るためにの目安の一つではありますが、あくまでも前胞状卵胞の現時点での数を表しているだけです。
仮にAMHがものすごく低いとしても、ホルモン異常などほかの原因でうまく卵胞の成長がいっていないだけで、原子卵胞はたくさんある場合もあるでしょう。
しかも、AMHの数値は卵子の質には関係なく、内膜や子宮の状態とも関係がありません。
自然妊娠の場合は最終的に排卵される卵子は結局は1つですので、前胞状卵胞が多くても少なくてもあまり関係ないでしょう。
それよりも卵子の質を上げて、子宮内膜をふかふかにして、着床しやすくした方がよっぽど妊娠しやすいと思います。
私自身、低AMHと診断されてから5年以上も治療を続け、その間も排卵はほぼ毎周期続けていました。
そして、待望の妊娠もしています、あまり数字だけにこだわらなくてもよい気がします。
まとめ
AMHと妊娠しやすさには直接の関係がないことはわかったかと思いますが、体外受精などで採卵する場合はAMHが低いと採卵数が少なかったり、そもそも採卵できない場合もあります。
やはり妊活をしている人はAMHの数値は気になるところでしょう。
今後AMHを上げるための方法を紹介しますが、AMHはあくまでも育っている途中の卵胞の数を知るための指標なので、あまり気にせずに卵子の質を上げるための取組をすることをおすすめします。
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