不妊治療をする人たちにとって、子どもを授かることが第一ですが、無事に子どもが産まれたとして、その子が自然妊娠の子と違いがあるのか、気になりますよね。
体外受精や顕微授精で産まれた子どもは大きい、成長が早いという声を聞きますが、実際はどうなんでしょうか?
実際に、顕微授精で産まれた私の子どもの場合も紹介していきます。
体外受精で産まれた子どもは大きいってホント?
体外受精で産まれた子どもは大きい、これってホントなんでしょうか?
凍結胚移植で産まれた子どもはたしかに大きい
体外受精で産まれた子どもの体重や身長についてはこちらのHPがわかりやすそうです。
下のグラフは日本産婦人科学会がまとめた、41,299人の不妊治療で産まれた赤ちゃんから、双子や三つ子などの体重に影響が出そうな多胎児を除いたデータだそうです。
見て分かる通り、凍結胚移植で産まれた赤ちゃんは全体の平均よりも大きく、新鮮胚移植で産まれた赤ちゃんは平均より小さいようです。
その差はそれぞれ50gだそうで、明確に分かれていますね。
症例数は1200件程度と少ないですが、こちらの国立研究開発法人日本医療研究開発機構の調査でも同様の結果になっており、凍結胚移植の赤ちゃんの方が70g大きかったそうです。
産まれた時は背も体重も大きく、その後1歳6か月くらいで自然妊娠の子と同じくらいになるそうですね。
海外の調査結果も見て見ましょう。
こちらはノルウェーの調査結果をまとめた亀田IVF幕張クリニックのHPですが、ART(高度生殖医療)で産まれた子どもは出生時は低身長・低体重の傾向だったものの、急速に成長し3歳時点では自然妊娠の子よりも大きくなるというデータになったそうです。
その後、7歳くらいまでは自然妊娠の子に比べて大きいものの、17歳では平均並みになったそうです。
もう一つデンマークの調査結果を紹介しましょう。
こちらの生殖医療専門医の方のブログに書かれています。
それによれば凍結融解胚移植は新鮮胚移植にくらべ1.3倍程度大きい赤ちゃんを出生しており、巨大児を出生する確率はなんと1.9倍だったそうです。
凍結融解胚移植と自然妊娠を比べても、凍結胚移植の方が1.41倍大きい赤ちゃんを出生し、1.67倍巨大児を出生しているそうです。
やはり、体外受精で産まれた子どもは大きいというのは、なんとなく当てはまりそうですね。
体外受精の子どもの大きさが違う理由はわからない
これについては、胎盤や臍帯血の遺伝子解析を試みましたが、はっきりした原因は解明できなかったそうですが、このHPではHCGホルモン(妊娠判定で測るアレです)の影響があるのではないかと仮設を立てていますね。
HCGホルモンは妊娠した時にでるホルモンですが、自然妊娠、凍結胚移植、新鮮胚移植でそれぞれ数値の平均が異なるようで、これが赤ちゃんの成長に影響しているのでは、と
動物でも同様のことが起こる
興味深いことに、動物実験においても同様に成長パターンが違うという結果になるそうです。
こちらの昭和大学医学部のHPに書かれています。
それによれば、体外受精・胚移植で出生したマウスは、自然妊娠で出生したマウスと比較して、生後の成長パターンが異なり、なんと、性別・受精卵の培養液の種類によっても成長パターンが異なったそうです。
実際、着床前の人工胚の遺伝子発現を調べたヒトを対象とした研究においても、培養液の違いによりその遺伝子発現が異なることが報告されているそうですが、受精卵は培養液から栄養を貰って育っていると考えると納得なのでしょうか?
ちなみに、体外受精・胚移植で出生したマウスの長期予後についても調査しており、この結果によると雄では成獣期に耐糖能異常が起こりやすいことが示唆されているそうですが、ヒトではまだわからないことが多いのが現状だそうです。
体外受精で産まれた我が子は大きい
顕微授精で産まれた我が子はどうでしょうか?
帝王切開で弛緩出血になり、大変なお産でしたが、生まれた時の体重は体重は2800g、身長はちょうど50cmでした。
やや小さいかなと思っていましたが、母子手帳の成長曲線を見ると現代においては平均よりやや上のようです。
昭和50年には平均3.2㎏だった出生時体重ですが、今は中央値ですが男児で3㎏、女児で2.94㎏だそうです。
身長は男の子が59cm、女の子が48.5cmなので、顕微授精で産まれた我が子は慎重はやや平均以上、体重は平均よりやや下といったところだったみたいですね。
そんな我が子ですが、産まれてから猛烈に成長し、生後6か月で体重は8.5㎏、身長は70cmになりました。
6か月で安定感のある後ろ姿
中央値が体重7.2㎏くらい、身長65cmくらいなので、これはかなり大きく、成長曲線の上ギリギリです。
グングンと育っており、体外受精で産まれた子どもは成長が早い、大きい、というのはうちの子の場合、当てはまりそうです。
心の成長については自然妊娠と違いは無い
最後に、身体の成長だけでなく心の成長も見ていきましょう。
心の成長は自然妊娠と体外受精に違いは無い
心の成長については、自然妊娠と違いは無いと言われています。
先ほどの国立研究開発法人日本医療研究開発機構が行った調査で、自閉症やアスペルガー症候群のテストを行っていますが、自然妊娠の子と体外受精ので産まれた子には違いは無かったそうです。
ただし、アメリカで行われた長期大規模疫学調査では、自閉症スペクトラム障害のリスクが体外受精で産まれた子どもは2倍になるという調査結果があったそうです。
1997年から2007年にかけて行われた調査で、1970年代のアメリカでは自閉症は3000人に1人だったが、2014年には68人に1人に増えたと言われています。
ただ、1997年と2007年では時代的な背景が違いますし、日本でも昔に比べて自閉症は増えていると思いますが、それが体外受精で産まれた子が増えたから、と結びつけるのはどうかと思います。
こちらのサイトにまとめられています。
我が子の成長も順調
体外受精で産まれた我が子の心の成長ですが、ここまでは順調に育ってくれているように思います。
半年検診では顔に掛けられた布をしっかりと取り、すでに人見知りも始まっています。
目を合わせて良く笑ってくれますし、気になるところがあればズリばいで移動してのぞき込むなど、好奇心も旺盛です。
まだまだ先天性の異常がすべてわかる年齢ではありませんが、保育士の親から見ても、ここまでは順調に育っていると言えそうです。
まとめ
体外受精だから成長が早い、顕微授精で産まれたから優秀、など、体外受精で産まれた子ども特有の成長特性を聞くようになりました。
それだけ高度生殖医療を受ける人が増え、市民権を得たからだと思います。
隠すような後ろめたいことじゃなく、体外受精で産まれた、不妊治療を頑張った、と言えるのはいいことですよね。
体外受精で産まれた子どもは大きい、というのは実際にありそうですが、あくまでも統計データであり、体外受精でも小さい子もいれば、自然妊娠でも大きな子もいるのは当たり前です。
体外受精の1つの特徴として、知っておくと面白いかもしれませんね。
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